セミナー・記事制作

セミナー制作の台本はこう書く──画(え)とキュー出しの設計方法

#台本#キュー出し#セミナー制作#スイッチング

台本がないセミナーで何が起きるか

「台本なしでも配信できますか?」という相談は多い。結論から言えば、配信はできる。ただし、以下のような問題が頻繁に起きる。

  • 登壇者がスライドを切り替えたのに、カメラが発言者のアップのまま
  • 質疑応答に切り替わるタイミングで、テロップが出ない
  • 次のセクションに入ったのに、スイッチャーのオペレーターが気づかない
  • 登壇者がマイクをオンにし忘れたまま話し始める

これらはすべて、進行の設計図(台本)がないことが原因。セミナーの台本は「セリフを決める台本」ではなく、映像と音声のオペレーション指示書として機能する。

台本の基本構造

セミナー台本は、以下の4列で構成する。

時間 画(え) 音声 キュー/備考
進行上のタイムスタンプ どのカメラ・ソースを出すか 誰のマイクがオンか オペレーターへの指示

具体例を見てみよう。

実例:60分セミナーの台本

オープニング(0:00-5:00)

時間 画(え) 音声 キュー/備考
0:00 タイトルスライド(PC送出) BGM(SE-01) 配信開始。BGMフェードイン
0:30 タイトルスライド → CAM1(司会者) BGMフェードアウト → 司会マイクON CUE:司会者に開始合図
1:00 CAM1(司会者) 司会マイク 注意事項アナウンス中
2:00 CAM1 → CAM2(登壇者) 司会マイクOFF → 登壇者マイクON CUE:登壇者にアップ合図
2:30 CAM2(登壇者) 登壇者マイク テロップIN:名前・肩書き

プレゼンパート(5:00-40:00)

時間 画(え) 音声 キュー/備考
5:00 PC送出(スライド) 登壇者マイク スライド1。PinP:登壇者ワイプ右下
5:00-40:00 スライドに合わせてPinP or CAM2切替 登壇者マイク ※次項「画の切替ルール」参照
39:00 CUE:登壇者に残り1分の紙を出す
40:00 CAM2 → CAM1(司会者) 登壇者マイクOFF → 司会マイクON CUE:司会者に質疑移行合図

質疑応答(40:00-55:00)

時間 画(え) 音声 キュー/備考
40:00 CAM1(司会者) 司会マイク 質疑応答の案内
40:30 CAM2(登壇者) + テロップ(質問文) 登壇者マイク チャットから質問を拾い、テロップ表示
54:00 CUE:司会者に残り1分の紙
55:00 CAM2 → CAM1 登壇者マイクOFF → 司会マイクON 質疑終了

エンディング(55:00-60:00)

時間 画(え) 音声 キュー/備考
55:00 CAM1(司会者) 司会マイク クロージングコメント
58:00 CAM1 → エンドスライド(PC送出) 司会マイクOFF → BGMフェードイン CUE:司会者に終了合図
60:00 エンドスライド BGMフェードアウト 配信終了

画(え)の切替ルール

プレゼンパートの40分間、すべてのスライド送りに合わせてカメラを切り替えると煩雑になる。以下のルールでスイッチングを設計する。

ルール1:話の区切りでカメラに切り替える

セクションが変わるタイミング(例:「次に、コスト構造について説明します」)で、スライドからカメラ映像に切り替える。登壇者の顔が見えることで、視聴者に「場面転換」が伝わる。

ルール2:データや図表が出たらスライドに切り替える

グラフ、表、フローチャートなど、視認性が重要なスライドはフル画面で見せる。このとき登壇者はPinPのワイプにする。

ルール3:結論やまとめはカメラで見せる

「つまり、〇〇ということです」のような結論部分は、登壇者のカメラ映像にする。結論を人の表情と一緒に伝えることで、説得力が上がる。

キュー出しの実務

キューの種類

キュー 伝達方法 内容
開始合図 手信号(指差し) 「どうぞ」の合図
残り時間 フリップ(紙) 「残り5分」「残り1分」
終了合図 手信号(×印) 「締めてください」
緊急停止 インカム 音声トラブル等

キューを出す担当はフロアディレクター(FD)。登壇者の目線の先に立ち、カメラに映り込まない位置からキューを出す。

インカムの運用

スイッチャーオペレーター、音声担当、FDの3名がインカムで常時接続する。台本上の「CUE」マークが出るタイミングで、ディレクターからオペレーターに指示が飛ぶ。

台本を書くときのチェックリスト

  • 全パートのタイムラインが入っているか
  • 各パートの画(え)が指定されているか(CAM番号 or PC送出)
  • マイクのON/OFFタイミングが明記されているか
  • キュー出しのタイミングと方法が書かれているか
  • テロップの出し入れタイミングが書かれているか
  • BGM・SEのフェードイン/アウトが指定されているか
  • 「残り〇分」のフリップを出すタイミングが入っているか

まとめ

セミナー台本は「何を話すか」ではなく、「その瞬間に何を見せ、何を聞かせるか」を設計する文書。登壇者のセリフを書く必要はないが、映像と音声のオペレーション全体を設計する必要がある。

台本があるセミナーとないセミナーでは、視聴体験がまったく異なる。とくに画(え)の切替ルールとキュー出しの設計は、配信品質を直接左右する。配信会社に依頼する場合も、この構造を理解しておくことで、打ち合わせの精度が上がる。

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