「お任せで」が生む不幸
カメラマンに「お任せで大丈夫です」と言うと、カメラマンは自分の美意識で最善を尽くす。だが、その「最善」が発注者のイメージと一致する保証はない。
結果、「きれいだけど、思っていたのと違う」写真が上がってくる。カメラマンの技術が低いのではなく、ゴールの共有が不十分だっただけ。
撮影前に伝えるべき5つのこと
1. 使い道(何に使う写真/映像か)
| 使い道 | カメラマンの判断に影響すること |
|---|---|
| Webサイトのヒーロー画像 | 横長、テキストが乗るスペースを確保 |
| SNS投稿用 | 正方形 or 縦型、スマホで見て映えるか |
| パンフレット(印刷物) | 高解像度、トリミング余白を確保 |
| 採用ページの社員紹介 | 人物のポートレート、表情重視 |
使い道を伝えると、カメラマンは構図・画角・解像度をそれに合わせて調整する。
2. 参考画像(3〜5枚)
言葉よりも画像の方が正確に伝わる。Pinterestや他社サイトから「こういう雰囲気がいい」と思う写真を3〜5枚集めて共有する。
伝えるときのコツ:
- 「この写真の光の感じが好き」(明るい / ドラマチック / 柔らかい)
- 「この写真の色味がイメージに近い」(暖色 / クール / ナチュラル)
- 「この写真の構図を参考にしたい」(寄り / 引き / 斜め)
「この写真みたいにして」だけだと、何を参考にすべきかわからない。
3. 必須カットのリスト
「撮ってほしいカット」を具体的にリストにする。
| カット | 詳細 |
|---|---|
| 代表ポートレート | 胸から上、正面、微笑み |
| オフィス全景 | 入口から奥を見た構図 |
| 作業風景 | PCに向かっている複数人 |
| 会議シーン | ホワイトボード前で議論中 |
| 外観 | 建物正面、看板が読める |
4. NGカット・NG表現
撮ってほしくないものを明確に伝える。
- 「散らかったデスクは映さない」
- 「社員Aさんは顔出しNG」
- 「競合のロゴが映る場所は避ける」
- 「暗い・重い印象の写真は不要」
5. トーン(雰囲気の方向性)
以下の対比で伝えると、カメラマンがトーンを掴みやすい。
| 対比 | どちらに寄せたいか |
|---|---|
| フォーマル ↔ カジュアル | ? |
| クール ↔ 温かい | ? |
| 静的 ↔ 動的 | ? |
| 洗練 ↔ 親しみやすい | ? |
「うちはカジュアルで温かい感じ」と言えれば、それだけでカメラマンの撮り方が変わる。
撮影中の指示の出し方
やっていいこと
- 「もう少し笑顔で撮ってもらえますか?」(被写体への声かけ)
- 「この角度から見た方がうちの設備がよく見えます」(場所の提案)
- 「このカット、もう1パターン撮れますか?」(バリエーションの依頼)
やらない方がいいこと
- 「もっと右から撮ってください」(カメラポジションの細かい指示)
- 「シャッタースピードを変えてもらえますか」(技術的な指示)
- 「さっきのカット、すぐ見せてください」(撮影のリズムを止める)
原則:「何を撮りたいか」は発注者が指示し、「どう撮るか」はカメラマンに任せる。
ポートレート撮影で伝えること
人物撮影は特に事前の情報共有が重要。
| 項目 | 伝えること |
|---|---|
| 服装指定 | スーツ / ビジネスカジュアル / 作業着 |
| 背景 | 白壁 / オフィス / 屋外 |
| 表情 | 真剣 / 微笑み / 笑い |
| 構図 | 肩から上(バストアップ)/ 腰から上(ウエストアップ)/ 全身 |
| 小道具 | PCを持つ / 工具を持つ / 何も持たない |
まとめ
カメラマンへの指示で大事なのは「技術的な指示」ではなく、「ゴールの共有」。
- 使い道を伝える(Web / 印刷 / SNS)
- 参考画像を3〜5枚共有する(何が好きかも言語化する)
- 必須カットとNGカットをリスト化する
- トーンを対比で伝える
これだけで、「思っていたのと違う」は激減する。カメラマンは技術を持っているが、発注者の頭の中は見えない。言語化して伝えることが、良い写真への最短距離。