「どのプラットフォームを使えばいいですか?」
配信の相談で最も多い質問がこれ。答えは「用途による」。だが、その判断基準がわからないから聞いているわけで、ここでは選定の考え方を整理する。
3つの判断軸
軸1:誰が見るか(視聴者の属性)
| 視聴者 | 推奨 | 理由 |
|---|---|---|
| 社内(従業員) | Microsoft Teams / Zoom | 既存ツールでアクセスしやすい |
| 既存顧客・取引先 | Zoom Webinar / Vimeo | 登録制+限定公開が管理しやすい |
| 不特定多数 | YouTube Live | アカウント不要で視聴でき、到達範囲が広い |
| 株主・投資家 | 議決権行使システム+RTMP | 認証と議決権行使が必要 |
最初に「誰が見るか」を決めれば、選択肢は2〜3個に絞られる。
軸2:何人が見るか(同時視聴数)
| 規模 | 推奨 | 注意点 |
|---|---|---|
| 〜100名 | Zoom Meeting / Teams | 双方向のやりとりが可能 |
| 100〜1,000名 | Zoom Webinar / Teams Live Event | 視聴者はチャットのみ、登壇者が話す形式 |
| 1,000名以上 | YouTube Live / Vimeo OTT | CDN経由で大規模配信に対応 |
100名を超えると「参加者全員がカメラON」の形式は成立しない。1対多の配信形式に切り替える必要がある。
軸3:何をしたいか(必要な機能)
| やりたいこと | 必要な機能 | 対応プラットフォーム |
|---|---|---|
| Q&A(質疑応答) | チャット+Q&Aパネル | Zoom Webinar, Teams |
| アンケート | ポーリング機能 | Zoom, Slido連携 |
| 参加者の認証 | 登録制+メール認証 | Zoom Webinar, Vimeo |
| アーカイブ配信 | 録画+オンデマンド公開 | YouTube, Vimeo |
| 複数カメラ切替 | RTMP入力対応 | YouTube Live, Vimeo |
| ブレイクアウトルーム | 小グループ分け | Zoom Meeting |
主要プラットフォーム比較
| 項目 | Zoom Webinar | Microsoft Teams | YouTube Live | Vimeo |
|---|---|---|---|---|
| 最大視聴者数 | 10,000 | 10,000 | 無制限 | プランによる |
| 視聴者の認証 | 登録制 | 組織内SSO | 限定公開URL | パスワード+ドメイン制限 |
| Q&A機能 | ○ | ○ | チャットのみ | ○ |
| RTMP入力 | △(Zoom Eventsのみ) | △(エンコーダー配信) | ○ | ○ |
| アーカイブ | ○ | ○ | ○(自動公開) | ○ |
| コスト | 月額〜 | Microsoft 365に含む | 無料 | 月額〜 |
| 遅延 | 2〜5秒 | 10〜20秒 | 10〜30秒 | 5〜15秒 |
よくある判断ミス
ミス1:「全社でZoomを使っているから配信もZoom」
Zoomは会議には最適だが、1対多の配信には機能が不足する場合がある。特にRTMP入力(外部スイッチャーからの映像送出)に対応していないプランでは、複数カメラの切替ができない。
ミス2:「YouTubeなら無料だから」
YouTube Liveは無料だが、遅延が10〜30秒あるため、リアルタイムの質疑応答には向かない。また限定公開であっても、URLが漏れると誰でも見れてしまう。社内向けや機密性の高い配信には不向き。
ミス3:「高画質にしたいから高いプランを」
画質を決めるのはプラットフォームではなく、カメラと回線の品質。プラットフォームの上位プランに変えても、送出する映像の解像度が低ければ意味がない。
選定フローチャート
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視聴者は社内か社外か?
- 社内 → Teams(既存環境)or Zoom
- 社外 → 次へ
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視聴者数は100名以上か?
- はい → Zoom Webinar, YouTube Live, Vimeo
- いいえ → Zoom Meeting
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認証(視聴制限)は必要か?
- はい → Zoom Webinar, Vimeo
- いいえ → YouTube Live
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リアルタイムQ&Aが必要か?
- はい → Zoom Webinar(遅延小)
- いいえ → YouTube Live, Vimeo
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外部スイッチャーからの映像送出(RTMP)が必要か?
- はい → YouTube Live, Vimeo
- いいえ → 上記の結果で選定
まとめ
プラットフォーム選定は「機能の比較表」ではなく、「誰に・何人に・何をしたいか」の3軸で判断する。
配信会社に相談する際も、この3つが整理されていると、最適な提案が返ってくる。逆にこの3つが曖昧なまま「どれがいいですか?」と聞くと、「全部入り」の高額な提案になりやすい。