会社の考え方や事業の強みはあるのに、代表や事業責任者の言葉として外に出せていない。採用サイト、会社紹介、営業資料で同じ説明を繰り返しているが、整理されていないため発信ごとにぶれてしまう。
こうした状態は、「伝えるべきことがない」のではなく、「伝えるべきことが整理されていない」だけです。
この記事では、7th Logicが代表インタビュー案件をどのように考え、どう進めているかを、判断のプロセスまで含めて整理します。
まず整理すること──何を「核」として外に出すか
代表インタビューに取り掛かる前に、以下を整理します。これは記事や動画を作る前の、最も重要な設計作業です。
整理する4つの問い:
| 問い | なぜ重要か | 決まっていないとどうなるか |
|---|---|---|
| 何を会社の核として出したいか | すべてを語ると何も伝わらない | 「良い話だけど、結局何の会社だっけ」になる |
| 誰の言葉を前に出すべきか | 代表だけが正解とは限らない | 代表が語るべきことと、現場が語るべきことが混ざる |
| 採用、営業、広報で共通して使える話は何か | 共通の核があると素材が使い回せる | 用途ごとに別の取材が必要になる |
| 媒体ごとに変えるべき温度感はどこか | 採用と営業では読者の期待が違う | 全方位に中途半端な内容になる |
代表インタビューは素材としては作りやすい一方、整理せずに作ると「良い話をしているが用途が定まらない」コンテンツになりがちです。必要なのは、制作の前にどの文脈で使うかを決めることです。
進め方の具体的なステップ
Step 1: 事前ヒアリングと論点整理(1〜2時間)
代表との1対1のヒアリングで、以下を把握します。
- 会社の成り立ちと、そこに込めた考え
- 事業の現在地と、今後の方向性
- 社員に対する考え方、採用で重視していること
- 顧客に提供している価値の核
- 公に出せる話と、まだ出したくない話の線引き
このヒアリングは、取材とは別の場として行います。カメラを回さず、メモベースで「何を使うか」を決めるための場です。
Step 2: 質問設計と用途マッピング
ヒアリングで得た情報をもとに、取材用の質問リストを設計します。各質問に「この回答はどの用途で使うか」タグをつけておくことで、取材後の素材整理が格段にスムーズになります。
設計例:
Q1: 会社を作ったきっかけ → 会社紹介(Web/紙)
Q2: 事業で大切にしていること → 会社紹介+営業資料
Q3: お客様に提供している価値 → 営業資料+採用サイト
Q4: 社員に求めること → 採用サイト
Q5: これから目指す方向 → 会社紹介+採用+営業資料
Q6: 仕事で忘れられない出来事 → 採用サイト(人柄が伝わる話)
Q7: 応募者へのメッセージ → 採用サイト
Step 3: インタビュー撮影と記事素材の同時収集
撮影日に、動画・写真・記事の素材をすべて同時に収集します。
- 動画カメラ(インタビュー本編+Bロール)
- 写真カメラ(ポートレート+執務風景+自然な表情)
- 音声テイク(動画とは別にクリアな音声を収録。記事の書き起こしにも使う)
Step 4: 用途別素材の整理と納品
取材で得た素材を、以下のような形で整理・納品します。
| 成果物 | 内容 | 主な用途 |
|---|---|---|
| インタビュー動画(3〜5分) | ベスト回答を編集、テロップ付き | コーポレートサイト、説明会 |
| 30秒ダイジェスト | 核となるメッセージを抜粋 | SNS投稿、営業メール添付 |
| インタビュー記事(2,500字) | 質問と回答を整理、写真入り | コーポレートサイト、広報 |
| 代表メッセージ文(500字) | 記事から核を抽出 | 採用サイト、会社案内 |
| ポートレート写真(5〜10カット) | 用途別にセレクト | プロフィール、プレス対応 |
| キーメッセージ抜粋 | スライド用に整理 | 営業資料、会社案内 |
このアプローチで変わること
- 代表の時間を半日1回の取材で済ませられる(別々に発注すると2〜3回必要)
- 採用広報と会社紹介のメッセージの軸がそろう
- 記事、動画、写真が統一されたトーンで揃う
- 発信のたびに「何を言おう」と考える負担が大幅に減る
- 営業資料、採用サイト、SNS、会社案内で同じ素材を使い回せる
よくある落とし穴
「代表が話すのが苦手なんです」 → 話し方の問題ではなく、質問設計の問題であることがほとんどです。適切な質問を投げれば、話すのが得意でない方でも十分な素材が得られます。
「何を話せばいいか分からない」 → 事前ヒアリングで整理するので、取材当日に「自由に話してください」とは言いません。質問に答える形で進めるので、準備は不要です。
「まだ会社の方向性が固まっていない」 → むしろそういうタイミングで、インタビューを通じて言語化するのが有効です。外部の人間に話すことで、自分の中で整理がつくケースは多いです。